2022年、最も影響力があったカメラがGRⅢだとすると、最も楽しかったカメラはK-3Ⅲだった。
喉から手が出るほど望んでいたK-3Ⅲの登場。昨年春の発売と同時に意気揚々と迎えたわけだが、本当はしばらくの間、ピンと来てなかった。
今思うと、原因はK-3Ⅲの役割を限定したことなんだろう。
登山用&動体用に使おう、と決めて購入したためにかえって使用機会を限定してしまい、防湿庫にいる時間が長くなってしまった。
しかし、今年に入ってスナップを始めたことで状況は一変。
自分は「いい写真を撮る」ことよりも観察することやテンポよくシャッターを切ること自体の方が楽しいと自覚すると、この楽しみに最もマッチしているカメラがK-3Ⅲだとようやく認識した。
見えのいいファインダーで美しい世界を観察する。シャッターを切る一瞬の集中。風の音しかしない静けさにわずかに響く柔らかいシャッター音。
撮影体験全体が滑らか且つ自然で染み渡るような充実感がある。
あぁPENTAXがSTATEMENTで言いたかったことはこういうことなのではないかと、と思えてくる。
今年に入って、富士フイルムやCanonがAPS-Cミラーレスの新型を投入したことで、このセンサーサイズにおけるフラグシップ機のスタンダードが一段上がった感じがある。
K-3Ⅲは例の如く、あっさりと一世代前のスペックになってしまったわけだが、プレミアムな撮影体験の提供も性能の1つと考えれば、堂々とフラグシップを名乗ってていいはず。
また、小型で軽量なのもK-3Ⅲの素敵ポイントだ。
K-3Ⅲの詳細が発表された当初、5年も前に出たニコンのD500と比較しても性能が劣っているという意見があった。
ことAFや連写で言うと、それは事実なのだが、そもそもK-3ⅢはD500に比べて遥かに小さく軽量。結局、手元に届いたらサイズは最も重要な性能の1つになる。
前回も記載したアストロトレーサー Type3はK-3Ⅲが業界に誇れる数少ない化物機能。
いやほんと、なぜこの機能をPENTAXはもっとオラオラ推さないのか。
短時間とは言え、赤道儀どころかGPSユニットも不要で星を追尾するんだよ?そんなのある?
K-3Ⅲより「より良い記録」が出来るカメラはたくさんある。
でも「より良い体験」を提供してくれるカメラはそうあるもんじゃないと自分は思う。
良い写真を撮らないとって思う気持ちの息抜きに、どうですか最高のオモチャとしてK-3Ⅲ。