岩手に帰省した際、ちょくちょく思っていたことがある。
それが「暗い」ということ。
県土の77%(!)が森林で占められているからなのか、大きな街がないからなのか、真っ暗な場所が多い。
ならば当然、星景だろう。
ということで実家にいる間に種山高原へ天の川撮影に行ってきた。
キャンプ場を抜けて森の奥へ奥へ。
開けた場所で車から降りると一点の人工光も見当たらない、極上の闇が広がっていた。
極上...
極上が過ぎる...。
残念ながら上の方はガスがかっていた。
ガスが切れた瞬間に見えた星空は言葉を失うほど美しく、天の川は今まで見たこともないほどハッキリ視認できた。
一瞬の出来事ゆえ、撮影できるレベルではなかったが、種山高原が星景撮影のベストスポットであることは間違いない。
種山高原はダメだったが、遠野への帰り道も負けず劣らずの真っ暗さ。
国道沿いでさえ、札幌近郊ではなかなかお目にかかれないほど濃い天の川が撮れた。
ただ、期待していたアストロトレーサーはキャリブレーションがどうしてもうまくいかず断念。
そのため、6枚の写真をスタックしてノイズ除去している。
6枚と意味がないほど少ないのには訳がある。
撮影中、通りかかった若いドライバーの方が「大丈夫?困ってない?」と声をかけてくれたからだ。しかも3組も。
夜中のパーキングでボーッと空を見ている男性は生者か死者かフィフティ・フィフティだろう。それに声をかけるのはなかなか勇気がいると思うが、岩手の人はやはり優しい。
どのドライバーさんも「星の撮影です」と言うと照れながら去って行った。かわいい。
アクセサリーのアストロトレーサーは使用出来なかったが、GPSユニットもキャリブレーションもなしで使用できる「アストロトレーサー Type3」を初めて試すことができた。
SS50秒の長秒露光&換算85mm相当でこの点像。
赤道儀・GPSユニット・キャリブレーションなし。大事なことだからもう一度。
まさかここまでとは思わなかった。この気軽さと実用性の高さは天体屋さんにも響くんじゃないだろうか。それにしてもPENTAXの開発力の癖の強さ。
実家に戻ってきて空を見上げたら薄っすらと天の川が見てとれた。
岩手にいれば星には困らなさそうだ。