故郷である岩手県遠野市。その隣町に住田町という山間の小さな町がある。
岩手に住んでいた頃は沿岸の釜石へ行く時に通る町、それくらいの認識しかなかった。
ところがどっこい、実際にはあちこちに美しい翡翠色の水辺を有する、とんでもない場所だった。
まず向かったのは足ヶ瀬砂防堰堤。かの有名な「銀河鉄道の夜」のモデルになった岩手軽便鉄道が沈んでいる砂防ダムだ。
湖面の翡翠色、木々の緑色、視力回復キットのよう。
レンズを替えようとした時にカワウのような大きめの鳥が水面を蹴って飛んでいった。
今度来るときは望遠レンズをつけてじっと構えるのもいいかもしれない。
祖父の運転する車の後部座席から幾度となく、この景色を見たはずなのだが、キレイだと思ったことはなかった。いかに人が見たいものしか見ていないのかを思い知らされる。
ここは新緑や紅葉など年中、色んな表情を見せてくれそう。
函館在住時の大沼や今の支笏湖のようにホームにするのにもってこい。
続いては岩手屈指の清流、気仙川にある気仙大滝。
川幅いっぱいの滝が直落ちと階段滝が合わさるような形になっていて撮るのが楽しい。
ひんやりとした湿度感のある写真になったと思う。
先の写真のほんの少し上流にも小滝があった。ここは水深が浅いので川の中で撮影。
木々のおかげで夏の昼間でもスローシャッターが切れる。
最後は葉山めがね橋だ。
水田に水を引く水路橋で、わたしが訪れた時も地元のおばちゃんが何やら洗っていた。
下を流れる渓流は先と同じく気仙川。
橋の奥に見える景色はどことなく樽前ガローを思い出させる。早朝に来るのもいいかもしれない。
なんとかアイデンティティを出そうと引きでスローシャッターを切ったが、これではバカの一つ覚え。
水路橋の生活風景の方が良かったかもしれない。これは良い宿題。
"地元のことほどよく知らない"はよくある話だけど、隣町なんて輪をかけて知らないものだった。写真はすぐそばにこそ宝物があると気づかせてくれる。
案外に地方創生の鍵はカメラオタクなのかもしれ...いや、そんなことはないか。