今回はLマウント初のレンズレビュー。
記念すべき一発目はやはりLUMIX...

と思ったけど、やっぱりSIRUI Aurora 85mm F.14。今のところ、Lマウントレンズでは一番、気に入っているし。
購入経緯
このレンズを購入しようと思った理由は無論、ポートレート撮影のため。
元々、ポートレート撮影に当たっては次のようなセットを中心に考えていた。
S5ⅡX+Sigma 135mm F1.8 Art
K-1Ⅱ+FA 77mm F1.8 Limited
が、いざポートレート撮影が実現しそうになってきたら、自信が萎んじゃった。
PENTAX機で臨んだ、過去の友達や家族などの人物撮影ではピント合わせに手間取ってチャンスロスをすることがとても多かったからだ。
それで、「や、やっぱ...Lマウントでもポートレートレンズ買おっかな...」とヒヨッていたのだが、そしたらタイミングよく、SIRUIがAuroraシリーズをLマウントにも展開しちゃった。
ほんなら、まぁ、ねぇ...。
Very Good
柔らかく、精細で優しい描写
85mmを購入するにあたってAuroraにすんなり決まったわけではない。
価格的にもサイズ的にも遜色なく、描写のキレならむしろ上のSigma 85mm F1.4 Artと結構悩んだ。
ただ、最終的には「あくまでポートレート用」という目的から、より柔らかい写りをするっぽいAuroraをチョイス。

そして、その選択にとても満足している。
LUMIXやSigmaレンズと比べると、温もりを感じるような色の出方、ホワッとした柔らかい線、まさに人を撮るレンズと言う感じ。

Sigma 85mm Artとの比較でAuroraの方が開放付近で少しボヤッとしている、という評価や作例も見たが、実際に使ってみると十分すぎるほど精細だ。
むしろ、Sigmaが凄すぎるだけなのでは。

なお、絞るとかなりキチッとした写りになる。
それでもSigmaのようなキレはないので、車とか撮るならSigmaの方がいい気がする。
逆にこんな感じの植物があるような風景はAurora向きかもしれない。
新感覚の高級感、上質な手触り
Sigmaの85mmと迷った理由にはもう1つ、見た目の違いがあった。
ピアノブラックの美しい筐体、寸分の隙間もない工作精度、向こうの方が高級感があるように思っていたのだ。

しかし、実際にAurora 85mmが届いてみると、その素晴らしい質感に驚き。
金属筐体ではあるが、マットな質感でサラサラとした手触り。頬ずりしたくなっちゃう。
青のメーカーバッジもいいアクセントになっている。
スターレンズのようなプロット塗装、Limitedレンズのような金属感ともまた違う味わいの高級感で保有する喜びは確かなもの。

S5ⅡXに装着するとこう。フルサイズミラーレスとしては比較的小柄な、このカメラとのマッチングもちょうど良く、質感の違いにもあまり違和感はない。
筆記体の「Aurora」もかっこいい。文字部分はどの箇所もプリントではなく、墨入れなところにもクオリティを感じる。
安い
このレンズはAmazonで購入したのだが、当時はセール+クーポンで7.7万くらいであった。
そして今はさらに安くなっている。どういう利益構造になっているんだ...。
ちなみに同じ85mm F1.4のDFA★85mm F1.4は18万円弱。
なお、先述したようにSigmaも10万円しないくらいとお求め安くはあった。
複数、サードパーティの選択肢があるというのはありがたい。
魅力的な同梱品
Aurora 85mmは安い上に同梱品も魅力的。

レンズの他にUVカットとブラックミストフィルターがついてくる。
普通なら、これで1万円近くしそうなもの。初期購入者限定とかならともかく、常時付属するというのだから、ぶったまげ。

個人的にはどちらも使いどころが難しいフィルターという印象だが、遊び甲斐のあるおもちゃではあるので、かなり嬉しい。

さらに作りのいいレンズポーチも付いてくる。Aurora 85mmを入れて使うことはないと思うが、登山の時なんかに使うと良さそう。
フィールドを歩き回って撮影する時によく使用するレンズを入れて腰に付けておくとかもありかも。
恐るべし大陸のオマケ文化。ありがてぇ。
衝撃の小型軽量ボディ。
ファーストインプレッションのエントリーでも記載したが、85mm F1.4のカテゴリーというのはカメラマウントの大口径化、ソフトウェアパワーの恩恵を特に受けているレンズなのかもしれない。
その根拠がこれ。

見よ、このレフ機用85mm F1.4とのサイズ差を
サイズだけでなく、重量も550g対1255gで何と半分以下。
これはPENTAXが特別大きいというわけでもなく、デジタル一眼レフ機末期の85mm F1.4はどのメーカーも似たりよったりのサイズ感。

フードを装着した時のサイズ感もこの通り。同じカテゴリーとは思えない。

DFA★85mm F1.4はカメラバッグの一等地が必要な上にこのように飛び出していた。
それがAuroraなら、左の少し小さめポケットに綺麗に入る。異次元の運用効率。
ピント・絞りリングの滑らかな手応え
最高です。もしかするとウチにあるレンズで1番かもしれない。
それは言い過ぎとしても間違いなく四天王。

なお、絞りリングはクリック感のON/OFFを選択可能。
動画撮影時はOFFにして、滑らかな絞り調整が出来る。
ヘボなので使ったことはない。
Not Good
フード装着がしぶい。
これ、色んな人が言っているがフードの装着が渋い。
カチッとしたクリック感はあるが、そこに至るまでがムリムリムリとした手応え。
個人的にはあまり気にしていないが、確かに他のレンズよりかは明らかに劣ってはいる。
糸巻き型の歪曲が結構大きい
歪曲収差は結構大きい。歪曲ほぼ0のDFA★85mm F.14に慣れていたこともあり、こんなに違うもんなんだな、とは思った。
モデルさんを配置した場所によっては撮って出しの使用に少し躊躇するレベル。
SIRUIに関わらず、現代的なレンズというのはソフトウェア側による補正を前提とした設計になっているんだろうね。
そこまで苦慮はしていないので、大した欠点ではない。むしろ、後述する問題が大きい。
Lightroom用補正プロファイルが見つけにくい
Aurora 85mmは未だにCamera RAWにレンズが登録されておらず、その代わりにSIRUIがLightroom用のプロファイルを提供している。
それは大変助かる。ありがとう。しかし、見つけにくい。見つけにくすぎる。
下記にダウンロード先のリンクを置いておくので参考になれば幸い。
Lightroomへの埋め込みは下記サイトを見ながら行った。
ただ、プロファイルを提供してくれるだけ、ありがたいと思うべきな気もするので、Badは言い過ぎかなと。
まとめ
ここまで書いて言うのも何だが、描写も製品の個性もDFA★85mmの方が好きだ。
ポートレートだけ見てもスターレンズの方がAurora以上に優しくて柔らかく、人肌の温もりを感じられる。
ただ、その差はごく僅かで、AuroraとS5ⅡXの組み合わせにはそれを補ってあまりある、打率の高さと取り回しの良さがある。
今の自分にはこのシステムの助けが欠かせない。

まだ3度しかないポートレート撮影でも、このレンズがあったおかげで撮れたと感じるものは多い。
わたしがカメラの助けなしでもバシバシとピントを取れるようになるその日まで、つまり永遠に頼れる相棒であってくれるだろう。