今年2月、大散財祭りで購入したDFA★85mm。
それから約10ヶ月。色々理由あってだいぶ日が空いてしまったが、そろそろ運用してみての感想を話していこう。
PENTAXレンズの最高峰。その力やいかに。
購入経緯
このレンズを迎えた時のエントリーで「購入理由がハッキリしている」と言ったが、その理由はありきたりで要は人物撮影だ。
撮影をよくお願いしてくれる、仲良し友達のうちにベイビーが誕生するので、その子の撮影のため、というのが大義名分であった。本音はこれを機にモデルさん撮影にもチャレンジすること。
前者はちょくちょく機会をいただいたが、後者の方はご存知の通り、全然うまくいっていない。
盛岡という地方都市で撮影モデルさんをどうやって探せばいいのか、ずっと分からない。
(見切り発進すぎる)
かくなるうえは姪っ子の未来にかけるか...。
Very Good
期待を更に上回る、圧倒的な描写力
正直なことを言うと、このレンズを注文した時は「ガッカリするかもしれない」という覚悟があった。
同じ中望遠のFA77mm F1.8 Limitedが素晴らしすぎる&DFA★50mm F1.4が凄すぎてハードルが上がっていたためだ。
同じような心配を毎度毎度してるが、今回も無事杞憂だった。
過去ないほどの杞憂と言っても過言ではない。
「まるで画素数が上がったよう」はスターレンズの話をするたびに言っていることだが、DFA★85mm F1.4はまさにその最高峰。
中央はもちろん周辺部も強く、浮き上がるような立体感がある。
もちろん、フリンジなどもしっかり抑制されている。
歪曲収差によってはほぼ0。中望遠なので歪曲に比較的強いこと自体は特別ではないし、今どきはカメラ側で相当修正可能とはいえ、0って。
「K-1Ⅱでは活かしきれていない」と思ったレンズはDFA★85mmが初だろう。
このレンズはもっと高画素の方が真価をハッキリできる気がする。K-1Ⅲ...頼む。
PENTAXユーザーで撮影結果に拘る方なら、持っていって絶対に損はしないはず。
目を見張るような1枚を約束してくれる。
頼もしく、かっこいい
DFA★85mmの購入理由には無論、見た目も含まれている。
特にこの凹レンズ形状。
レンズ最前面が凹んでいるのは先代のFA★85mm F1.4からの流れを汲むものならしく、当時は革新的な発明だったらしい。
何が優れているのかはサッパリ分からないが、今でも珍しい設計ならしい。何も分からずともそのヒストリーと特殊性、最高じゃん。
K-1Ⅱに装着するとこう。
相性はDFA★50mm F1.4に軍配が上がると思うが、威風堂々たる佇まい部門は上。
何の効果もないと分かっていても周囲に見せつけたくなる。
輝く金冠とDFA★ロゴも誇らしく、質感は言うに及ばず最高の一言。
みっちり詰まった金属の感触と滑らかなピントリング。剛性感・手触りも一級品だ。
超巨大フードの装着図。
HD系のスターレンズはフードと本体が隙間なくハマるのが気持ちいい。
先端がラバーになっているので、逆さ置きもできるよ。
中望遠 開放F1.4が生む、とろけるボケ
大口径の中望遠に多くの人が期待するものと言えば、当然ボケだよね。
強烈なボケ量、開放からピント面はシャープ、なんてもう当たり前。
ボケ自体もハチャメチャに滑らかだ。
背景がザワザワしている環境もなんのその。
玉ボケは開放ではややレモンぽいが、少し絞ると真円に近くなる。
Good
アストロレーサーとの相性も良い
高い光学性能と開放F値の低さから星系撮影にもうってつけ。
しかもPENTAXならアストロレーサーがあるので85mmでも点像の星系撮影を気軽に出来る。
さらに今年はじめにK-1ⅡもType3のアストロレーサーに対応したことでキャリブレーションをすっ飛ばして撮影出来るようにもなった。これもDFA★85mmとの相性を高めている。
AFも十分速い
AFはDFA★50mm F1.4同様に新開発のSDM。爆速とは言わないがスムーズで不満はほとんどない。
DFA★50mm F1.4よりも若干、高速になっているらしいが実感出来るほどではないかも?
Not Good
デカすぎるし、重すぎる
覚悟はしていたが、想像の1.5倍くらいデカくて、想像の2倍くらい重い。
APS-C機に付けた時、85mm相当になるDA★55mm F1.4は思想的な先代だと思っているが、このサイズ差である。FA77mm F1.8 Limitedとはこの調子。
フードを付けると事はより悪化。
DA★55mm F.14とDFA★85mm F1.4をそれぞれカメラに付けるとこうなる。
フリンジはでまくるし、AFは酷いしのDA★55mmを未だに大切に使っている理由がこれ。
このデカさゆにカメラバッグに入れる際も一等地を使用する必要があり、他のレンズの可搬にも影響が及ぶ。実際、DFA15-30mm F2.8のような大きいレンズとは一緒に持っていけない。
さらにフィルター径も82mmとうちで最大クラスのため、防湿庫の収納スペースもだいぶ食っている。幅だけで言うなら、超望遠以上。
さらにさらに重量は約1255g(フード込で約1355g)でK-1Ⅱと合わせると2.2〜2.3kgとなる。
ミラーレスマウントの85mm f1.4が630〜700g程度であることを考えると倍近い重量。
デジタル一眼レフ末期に発売されたシグマのArt 85mm F1.4などが同程度の重量であったことを考えると高画素デジタル一眼レフに対応する中望遠とはこれくらいになるものなのだろう。
まるで一眼レフがカメラ界の覇権を握り続けた世界線のレンズみたいだ。
ただし、フォローできる点もある。
マウント部がくびれているのでホールディングはそんなに悪くなく、K-1Ⅱも重いのでバランスもいい。構えた時の安定感もOKだ。重さに耐えられるのであれば、意外と使い勝手は良い。
まとめ
正直なことを言うと、DFA★85mm F.14は仰々しすぎると思う。
あまりにデカすぎて運用するのが大変だし、保管にも難する。
光学性能、可搬性、描写力を高次元で実現している、HD FA77mm F1.8 Limitedの存在も大きい。わたしもどっちかと言うなら、断然Limitedレンズの方をおすすめする。
F値だって実際は少し絞って使うことがほとんどなので1.8スタートで何の問題もない。
しかし、そういった諸々の都合を1枚で黙らせる力がこのレンズにはある。
わたしは写真の出来栄えより、撮っている時間の楽しさの方を重要視する人間なので、重すぎるDFA★85mmは本来、好みのレンズではないはずなのに。
人の写真に対するスタンスを屈服させるほどのパワー。それがこのレンズだ。
よっこらしょと構えて脇をしめ、集中してシャッターを切る。その結果はまさに目の前を光景をハサミで切り取り、持ち帰ってきたかのよう。
やっぱり、これでポートレート...来年こそは...。