メインカメラのレビューを今さら書くシリーズもついに最終回。
とりは最強のスナップシューター、Ricoh GRⅢだ。
誇張ではなく本当にこのカメラ、わたしの人生を変えた。
購入経緯
わたしがGRシリーズを初めて認識したのはお恥ずかしながらGRⅢからだ。
2019年発売時、「1インチセンサーの単焦点なのに随分と高級だな」なんてトンチンカンな印象を持っていた。後にAPS-Cと知り、目ン玉飛び出て膝をつき、腰を抜かすほどビックリ。
購入を具体的に考えるようになったのは彼女さんが出来て、一緒にオシャレなカフェに行くことが増えたから。一眼を持って行くのは場に合わないが、インテリアやテーブルフォトは撮りたい。
そこで高級コンデジ、特にGRⅢに興味が湧いた。
そして昨年初頭、ついにお迎え。
しかし、時を同じくして人生の春は終わってしまい、結局オシャレなカフェにGRⅢを持って行くことはなかった。
いかん、雨が降ってきたな...
Very Good
APS-Cセンサー搭載なのに超軽量・超小型ボディ
何と言ってもGRⅢ最大の魅力は大型センサーを搭載していながら、ボディは軽くて小型であることだろう。
うちの古のiPhone7と比較すると縦横ではGRⅢの方が小さいくらいだ。
これだけ小さいと仕事カバンや通勤用バッグに入れてても邪魔にならないので、いいなと思った瞬間を撮り逃がさずにすむ。
しかも、APS-Cという大型センサーならではのボケや深みを演出できるのだ。
まさに小さな巨人。
GRレンズの高い描写力
18.3mm F2.8 4郡6枚構成のGRレンズはセンサーパワーを存分に活かしつつ、キャラクターに合った描写性を提供してくれる。
周辺は少し甘い気もするが中心部はとんでもなくシャープ。
とんでもなくシャープなのだが、柔らかい写りにしたいようなシーンではその通りの画を出してくれる。
菩薩のように非常に懐の深いレンズだ。
しかも収差や歪曲、逆光の弱さも感じたことがない。
これが257gのカメラに搭載されているんですよ。確実に外宇宙技術使っているでしょ。
豊富なピクチャーコントロール
GRⅢの撮影の楽しさをより一層引き立ているのがピクチャーコントロールの存在。
スタンダードやビビットといった基本的なものから、レトロ、ブリーチバイパス、ポジフィルム調などなど多彩。
優しい系のネガフィルム調追加によって、活躍できる幅がより広がったのも大きい。
また、GRⅢと言えばやっぱりモノクロ。
透明感のあるモノクロの他、ソフト・ハードモノクロ、そして代名詞のハイコントラスト白黒と4つも選択肢がある。
被写体に合わせてどれを使うか考え、ビシッと決まった時なんかはその場でビールでも開けたい気分になる。
マクロモード
コンデジによくあるマクロモードをGRⅢも搭載。
GRⅢは通常の状態でもかなり寄れるカメラだが、マクロモードにするとレンズ先端から6cmまでと相当寄ることができる。
スナップ撮影中にグッと寄りたいな、というシーンは結構多いもんでその時にGRⅢをマクロレンズのように使えるのはとてもありがたい。
おまけに前後のボケもこの通り優秀なので、マクロモードとの相性もいい。
アクセサリーで個性を出せる
要はカッコいい、って話なのだが、その根拠にアクセサリーの豊富さがある。
特にリングキャップがメーカーだけでなく、サードパーティからも色んなカラーが出ており、自分だけの相棒を作り出せる。
わたしはRicohから出ているグレーのリングキャップをホットシューの色と合わせて普段使っている。シックで大人の遊び心が感じられ、とても気に入っている。
(リングキャップはよく脱落すると聞いてたが、うちでは一度も外れていない。なんで??)
また、Ricohから出される限定モデルもオシャレでとっても素敵だ。
コンバージョンレンズや外部ファインダーも本当は凄くほしい。
0.8秒の高速起動
めちゃめちゃ速い。0.8秒でレンズ繰り出すのはもはや魔法。
3軸4段の手ブレ補正
GRⅢから搭載された3軸4段の手ブレ補正。
この大きさに手ブレ補正を搭載できるのはもはや魔法。エクスペクトパトローナム!
操作性も良い
ほぼ、片手で操作可能。
左手を使いたいなとなるのはAFポイントを移動させる時くらいなもん。
ボディ左側にあるのはWi-FiやRAW現像のボタンのみで撮影自体には関係ない。
おまけに各種ボタン、ダイヤルのレスポンスもちょうどいい。
Good
便利なタッチスクリーン
今どき珍しくも何ともないけどGRⅢのタッチスクリーンは普通のスマホ並にしっかり使える。
AFでも写真データの送りでも違和感もモッサリ感もない。
フルプレススナップ機能
一気にシャッターボタンを押し込むとあらかじめ設定した距離で撮影可能という機能。
AF合焦無視なので、今だ!という瞬間を撮り逃がさない。
のだが、そもそも自分の場合は「今だ!」が難しくて中々使いこなせていない。
これめっちゃ便利だな、とは思ってるんだけどさ。
Not Good
コントロールダイヤルが壊れた。
詳しくはこちらの過去記事を読んでほしい。
端的に言うとコントロールダイヤルが故障して一定方向に回しても露出調整とかが暴れるようになってしまったのだ。
ネットで調べるとGRⅢの故障あるあるのようで、それはちょっと残念な減点ポイント。
修理して今は問題なく使えているからいいんだけどさ。
あとそもそもカタカタしててあまり品質が高いと感じられない。
まとめ
GRⅢ購入をきっかけに始めたスナップ撮影は「自分はなにが楽しくて写真を撮っているのか」という点で大きな気づきになった。
このカメラで撮ったストリートスナップのほとんどはSNSにあげてもろくすっぽイイねなんて付かない。
壮大な大自然の風景やロードスターの写真に比べると10分の1以下だ。
それでもわたし自身は全く、それが気になっていない。
そもそも「撮る」という行為自体を自分は楽しんでいて立派な写真もイイねもあくまでその副産物だからだ。
撮影自体が楽しいという気付きのおかげでK-1ⅡやK-3Ⅲのような元々持っていた機材もより一層、楽しく使えるようになった。
今は写真を撮ることが楽しくてたまらない。こうして写真を生涯の趣味にしてくれた、GRⅢ。
冒頭で言った人生を変えたカメラ、というのはそういう思いから来ている。