ウチのメインカメラ、K-1Ⅱをお迎えして今月で4年目。
長い月日を超え、満を持してついに今回K-1Ⅱのレビュー回となる。
決して最重要機材のレビューをしていないことに今更気づいたなんてことは...ある。
ごめんなさい。
購入経緯
初めての一眼レフ、K-S2購入から1年半。
写真が一生の趣味になるという確信を得たわたしはをいつか通るであろうフルサイズを先延ばしする意味はない、とフルサイズ機購入を決意した。
しかし、実はこの時、K-1Ⅱは候補にさえ上がっていない。
K-S2に不満があったわけではないが、今ほどPENTAXに思い入れがあったわけでもなかったのだ。
代わって最有力候補だったのが
ソニーのα7Ⅲ。
フルサイズミラーレスの時代到来を確実な物とした名機は高い次元で基本性能のバランスが取れており、それでいて価格もこなれていた。
かくして2019年年明け某日、わたしはネットショップのカートにα7Ⅲと欲しいレンズを入れ、あと1クリックというところまで迫っていた。
しかし、そこで天啓を得る。
「最後にもう1回、実機触ってきたら?」
当時勤めていた会社の先輩にそう言われ、確かになと思って帰りにカメラ屋さんに立ち寄った。
その数日後、K-1Ⅱ一式が届いた。
Very Good
圧倒的な剛性
なぜ候補にもなっていなかったK-1Ⅱを急転直下で購入する気になったのか。
その1番の理由がK-1Ⅱの圧倒的な剛性感だ。
実機を触りに行って気づいたのだが、他メーカー同等品と比べてK-1Ⅱの「硬いモノ感」は一線を画していた。K-1Ⅱを棒の端に付けて戦ったら、部族の長になれそうな気がする。
そして実際、丈夫だ。
過去に2度、1mほどの高さからコンクリート路面に落下させてしまったことがあるが、へのかっぱで何の不具合も起きなかった。
HPでボディはマグネシウム合金と書いているが、本当は超合金Zかもしれない。
フルサイズ一眼レフとしては小型でありつつ、強靭なボディ。この塊感にビビっと来ちゃったんだな。
あと無論、防塵防滴-10℃耐寒動作保証だ。
良好なグリップと操作性
手が成人女性並かそれ以下の大きさしかない自分にはカメラのグリップが超重要。
K-1Ⅱは指あまりがない&しっとり吸い付くようなグリップで握り心地はとても良好。
さらに背面に親指を回した時、サムグリップが指の付け根に干渉しないのも気に入っている。
グリップを握った時に人差し指がシャッターボタンに自然とそえられるのもグッド。
ON/OFFボタンがシャッター位置にあるのもいい。これによって右手だけでほとんどの操作が可能だ。
今でこそ、そういうカメラが普通になってきたが、K-1Ⅱ登場時はまだ業界スタンダードではなかったはず。
かっこいい
はじめはK-1Ⅱの三角軍艦部があまり好きではなかったが、すぐ気に入った。
ちょっとオールドルックでかつ野性的なこの感じ、そう、ヒュー・ジャックマン。
カメラ界のヒュー・ジャックマン。
K-3Ⅲという共通デザインのカメラを迎えたことで、兄弟感が出てよりカッコよさが際立ったのも大きい。
FA Limitedを本来の画角で使用できる
FA Limitedを本来の画角で使用できる。
そもそも「フルサイズのK」はこのために生まれてきた、とも言える。
FA Limitedが誕生したのはフィルム一眼の末期も末期。デジタルでPENTAXはAPS-C機しか作っていなかったのだ。K-1の誕生に多くの人が湧いたのも無理はない。
FA Limitedの持つ甘美な味わいを3640万画素で完璧に写し出す。
どうですか。今にもセミの音が聞こえてくる気がしませんか。本当に聞こえてきたら、どうぞ脳神経外科へ。
星景撮影との親和性
K-S2からK-1Ⅱに乗り換えて1番ビックリしたのが、高感度耐性。
KPで初採用した自社開発のアクセラレーターをK-1Ⅱから採用。
これによって高感度のノイズ耐性が飛躍的に向上したらしい。
実際、ISO3200ではこの通り、ビクともしない。
またGPSを内蔵しているため、星を追尾するアストロトレーサーもユニットなしで使用可能。
フレキシブルチルト式液晶モニター
まだあるぞ、次はフレキシブルチルト式液晶モニターだ。
なんてPENTAXなんだろう。とにかくヨソとは違うことがしたい!という熱意が伝わってくるようだ。
だがこれ決してキワモノではない。これによって光軸をずらさずに縦位置でのローポジション撮影も楽にできる。
しかもこの一見、すぐぶっ壊れそうなモニター、全く壊れない。
先述した落下事故の際、モニターがピョンと出ていたので、あぁもうダメだと諦めかけたが保護ガラスが割れただけだった。
保護ガラスが割れるほどの衝撃があったのはあったのに...好き...
シャッター音
キャシャッ。好き。
音は小さめで柔らかく軽い。ニコンのD3桁機のザ・カメラみたいなシャッター音もめっっっちゃ好きだけど、それに並ぶくらい良い。
Good
ファインダー
倍率約0.7倍と並、透過液晶のせいで暗くなっているとあまり評判の良くないK-1Ⅱのファインダー。しかし、わたしはK-S2から乗り換えた時、広くてキレイでビックリした。
透過液晶の暗さを改善したK-3Ⅲのファインダーと比較しても未だによくわからない。
わたしがアホなのかウチのK-1Ⅱは何か特別なワンオフなのか。(前者です)
Bad
AFがしょぼい
動きもの撮るのにドライブが最高約4.4コマ/秒なのは100歩譲っていいとして、問題はAF。そういつものAF。
33点のクロス25点では一眼レフと言ってもショボすぎだろう。
(比べちゃ可哀想だけど同時期に出た高画素機、ニコンのD850は153点のクロス99点)
ただし、そんなAFも正確さと追尾性は悪くない。
小さい野鳥や素早く動く小動物なんかはともかく、大きい鳥や猫犬とかはどうにでもなる。
ようは気合だ。精神を研ぎ澄まし、心のAFを使いなさいってことなんだろう。
まとめ
たくさんVery Goodをあげておいて言うのもなんだが、K-1Ⅱは今から買うようなカメラでは全くない。
3640万画素はもはや高画素とは言えないし、フレキシブルチルト液晶もこれを超える、マルチアングル液晶なんて化物が出てきた。
基本性能は最新のフルサイズミラーレスと比べるまでもない。
「写真」が好きな人がK-1Ⅱを購入する理由はほぼないに等しい。
だが、「写真を撮る」のが好きな人だったら、話は別だ。
使用感、シャッター音、OVF、K-1Ⅱが与えてくれる撮影体験は今もなお、燦然と輝いている。