今日は盛岡で昼まで仕事をした後、エアコンがよく効いた部屋を鋼の意志で抜け出し、遠野に帰ってきた。
それもこれも小友町のお祭りに行くためだ。
県央に位置する遠野は昔、内陸部と沿岸部をつなぐ交通の要所で宿場町として発展した。
小友地区も同様で街の通りには当時の面影が残っている。
むしろ面影ぶりなら、遠野市街地よりも色濃いので観光でちょっと覗きに来てもいいかも。
小友と言えば、この巌流神社。社の後ろにある大岩が御神体。
今回の小友まつりもこの巌流神社の例祭を指している。
お祭りの目的はこの獅子踊り。
遠野市の各地で踊られている伝統芸能で、わたしも小中学生の頃、学校行事で踊っていた。
獅子踊りは太鼓や笛の囃子方、踊りの上手なおじいちゃんや子どもたちが踊るフクベ、和装にはちまきを巻いた女性が踊る刀掛け、そして屈強な男達が踊る獅子で構成されるのが基本。
大昔に京都から伝わった踊りに土着の神楽とかが合わさって出来たとか何とか諸説があるが、はっきりしたことは分かっていない。
やはり目を引くのが、真っ白なたてがみをなびかせ勇壮に踊る獅子。
あのたてがみはドロノキという木をカンナで削ったもの。
それを振り乱して、ダイナミックに踊る。
そして、あの被り物だ。
ゴツゴツしてて頭が痛いし、頭に手ぬぐいを巻いて固定している&布に包まれているので暑いし、視界も悪い。
それで体全体を使って踊るのだから、とんでもない根性と運動量だ。
獅子踊りの獅子は民俗舞踊の中でも踊るのが難しい方ならしい。
動きの緩急が激しく、踊りのパターンも複数ある。写真のようにフクベや刀掛けと呼吸を合わせる必要も。
この獅子の頭の鹿模様は1番上手な人の証らしい。たしかにまるで被り物をしていないかのように動きが自然で一際、目を引いた。
もちろん主役は獅子だけではない。
囃子方の太鼓は人数と音の大きさが合ってないと思えるほどの迫力で、踊りの勇壮さとピッタリ。
獅子踊りから離れて20年くらい経つが、太鼓のリズムはスッと思い出せる。
ちなみにさっきから獅子踊りに関して知ったような口を叩いているが、わたし自身は周囲が哀れに思うほどヘタクソだった。
刀掛けで一緒に踊っていた同級生に「テンポが全然合ってないから踊りにくい!」と怒られたほど。おっと目から汗が。
遠野では獅子踊りが上手、というだけで一目置かれる。
「あいつ、獅子踊り上手だったよな」とか「ほら、あの〜獅子踊りが上手だった、なんて言ったけ?」みたいに"獅子踊りが上手"は立派なアイデンティティになる。
わたしも出来ることならテンポとリズムの神に愛されたかった。
なお、K-3Ⅲのバッテリーが切れてしまったので写真はないが、お祭りでは獅子踊りの他、南部ばやしや神楽も見ることができた。
会場はそこまで混雑しているわけではないので、じっくりと演舞を見られるし、屋台も色々あって楽しい。カメラマンにも家族でお出かけにもうってつけだろう。
何といっても小友の古き良き夏祭りの空気感が最高だ。