今から遡ること2週間ほど前、当ブログのPEN-F関連記事のアクセス数が急増するというプチ事件が発生した。
何かと思い調べてみると、たぶんこれ。
ざっくり要約すると海外の情報サイトでPEN-FⅡの開発資金をクラファンで募ってはどうか?という話。
開発発表どころか、信憑性のありそうな噂があがったわけでもないのにPEN-FⅡというキーワードだけで末端ブログのアクセス数が伸びるのだから、いかにPEN-Fが注目されているかが窺える。
ということで今回はPEN-Fの後継機、PEN-FⅡの可能性について触れていこう。
鉄も冷え切った今更感はあるけど、まぁ叩かないよりマシだろう。(そんなことないか)
そもそもクラウドファンディングを大手カメラメーカーがやるのか
カメラの開発において、クラウドファンディングという手段が用いられたことはなくはない。
しかし、大手メーカーで言うとせいぜい、PENTAXがK-3Ⅲの派生であるジェットブラックモデルを開発するのに募ったくらいだ。
(リコーイメージングが大手なのか?という疑問は置いといて)
つまり、主力新規モデルの開発費補填にクラウドファンディングが用いられたことはないわけで、なんとなくこれには理由があるような気がする。
ここからはその理由に関してわたしの妄想を聞いてほしい。
発売しなければならないというプレッシャー
1番の理由として想像しているのは発表しなければならないというプレッシャーじゃないかと思う。
クラウドファンディングは目標資金が集まれば発売されると思われるわけで、従来のカメラやレンズ開発のように「やっぱりやめました」とはとても言えない雰囲気になる。
しかし、クラウドファンディングの資金調達は少人数が大枚はたいても実現してしまうので資金調達の実現=たくさん売れる、とは限らない。
売れなくても開発費はクラファンで調達できたから、いいじゃん?と思うかもしれないが、そもそもそれなら開発する意味自体薄い。
開発自由度の低下
クラウドファンディングって開始する前に「実現したら、こんなもの作りますよ」って発表するじゃん。
あれってかなり具体的な内容であることが多い。
それをニューモデルのカメラでやるってリスキーじゃないだろうか?
特にPEN-Fのように趣味性の強いカメラの場合、万人受けするとは思えないので必ず様々な意見が噴出するような気がする。
例えばPENTAX 17とか一見するとクラファン向きの製品だと思うんだけど、クの字も出てこなかった。
一方、極端なこと言えば真っ黒にするだけのK-3Ⅲジェットブラックモデルはクラファンになった。
これって、単純なガワの改良ならウケがいいのに対し、新規モデルだと色んな意見が出てきて、開発に「揺らぎ」のようなものが出てしまうからじゃないかとちょっと思う。
これは技術が成熟しているカメラ業界特有かもしれない。
そもそもOMはPEN-FⅡを開発したいと思っているのだろうか
PEN-FⅡを欲しい人が一定数いるのはその注目度からも想像できる。
だが、OM自身はどう思っているんだろうか。
結論から言うと個人的には「E-P7やOM-5で我慢してくれや」って思ってるんじゃないかなぁと考えている。
m4/3の枠を凌駕するほど、めちゃくちゃ高くなる
なぜなら、開発して販売に漕ぎつけても高くて高くて売れないと思うから。
だってPEN-FⅡだよ?
ライカを除けば、PEN-Fボディの完成度はデジタルカメラ史上No.1だと思う。
ネジ穴は見せず、底面はフラットでダイヤル類等も金属、皮張りも高品質。
PEN-FⅡを発売するということはこのPEN-Fと同等もしくはそれ以上に洗練されたボディでなければならない。
ハードルがエグい。
しかもPEN-Fは当時のフラッグシップ譲りの高性能機。同様にOM-1ⅡやOM-5並のシステムをPEN-FⅡ搭載したら、どうなるか。
35〜40万くらいになるんじゃないだろうか。
スナップフォト系のm4/3に35〜40万。長篠の戦いの武田軍ばりに厳しい戦いすぎる。
これならZfやα7CⅡ買おうってなりそうな気がする。
トレンドじゃない
昨今、そのZfやα7CⅡのようにフルサイズミラーレス機でもスナップタイプの比較的小柄なカメラが出てきた。
もはや小さく軽いレンズ交換式カメラボディはm4/3の専売特許ではなくなりつつある。
気のせいかもしれないが、それゆえかOMもパナソニックも力点をOM-1やGHシリーズのような高性能・高機能機に置き始めているように思う。依然として強くメリットを打ち出せる望遠や動画システムで生き残りをかけているのかもしれない。
となると、いくら高品質で差別化できるとはいえm4/3のスナップ機に注力することはちょっと考えにくい。
さらに先述したようにOM自身もOM-5やE-P7を抱えている。代替案がないわけではない。
この状況で決して大きくないリソースを割いてPEN-FⅡを開発するだろうか。
じゃあ、PEN-FⅡは不要なカメラなのか?
ここまでオタクっぽい気持ち悪い考察をしてきたが、最後にわたし自身がPEN-FⅡをどう思っているかだが、これは「是非とも登場してほしい」だ。
その理由はK-1の後継機と同様で「絶えてほしくないから」。
たしかに先述のZfやα7CⅡもまごうことなき傑作機だと思うが、PEN-Fはちょっと別格。
工業芸術であり、洗練された道具であり、唯一無二のカメラ。
「PEN-Fっぽいもの」はたしかにあるが、PEN-Fを超えるもの、並ぶものは市場にない。
K-1シリーズのような新規開発の希望があるフルサイズ一眼レフが他に存在しないよう、PEN-Fもここで絶えれば未来永劫、続くものが出ない可能性の高い製品だ。
PENTAX 17がフィルムカメラ開発の血を継続させなければいけない、という想いから生まれたようにPEN-Fのような極限にまで作り込まれたデジタル機はどんなフォーマットでもいいから残るべきなように思う。
PEN-FⅡが日の目を見るのは現実的な話ではないかもしれない。
しかし、せめてOMに「いつの日かPEN-Fの後継機を作りたい」というロマンだけでも残っていてくれたら、わたしは幸せだ。