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ステップ 重松清

カメラとかドライブの話ばっかですが、意外と読書や映画も好きなんです。ちなみに初めて会った人なんかは全部意外に思うそうです。

皆さん「散らかった部屋で悶々とアニメとかアイドルのDVD見てそう」と、どう考えても初見で言っちゃダメな言葉を投げかけてきます。

 

小説の中でも一番、重松清さんが好きです。初めての読書録も重松清さん。先日読み終えたばかりの「ステップ」です。

 

 

小説は若くして、妻を病気で亡くした主人公・健一が義家族や周囲の人に支えられ、娘の美紀を育てていく、という内容。

 

いやぁもう、ベタベタなあるあるの話っすね。

もう泣かせる気まんまんの露骨なしかけ。

 

 

あーーーもう、その手には

 

 

乗りまくりです(´;ω;`)

 

飛行機で結構本気で泣いてしまい、通路挟んだ隣側に座っていたお姉さんに「ひえぇぇ」って顔されました。

 

内容のわりにはそこまで暗い話ではありません。

が、終盤はかなり泣かせにきます。

 

各章ごとに再婚相手になりそうな女性が出てきては、美紀ちゃんがそれをいじったり、健一が子育てや人生に迷うと、仏壇に飾っている亡くなった妻、朋子さんの遺影に励まされたり、色々触れたいことはあるんですが、私としては、義父の存在が「ステップ」という小説の印象を作った気がします。

 

義父は会社員時代は敏腕サラリーマンでしたが、定年退職後の現在はよくいる、孫かわいいかわいい爺さん。

 

ただ、その内心はとても深い思慮と思いやりに満ちていました。

 

娘の朋子さんを失い、男やもめとなった健一を支える。

大好きな孫と会えなくなる、それをグッと飲み込んで、健一の再婚を応援する。

 

健一がブレたり、迷ったりした時に彼に「しっかりしろ!」と喝を入れたのも、この義父でした。

 

健一に自覚があるのかないのか知りませんが、彼の行動は終盤、義父の言葉でかなり軌道修正されている気がしました。

 

義父は健一に「本当の息子だと思っている」と言っていましたが、まさに、としての役割を果たしていたのです。

 

 

重松清さんの小説が一番好きなのは、重松清さんの書く「父」が好きだから、です。

「父」から見た子の話、子から見た「父」の話。

 

ぶきっちょで言葉や行動で中々愛情を示せず、子も小さいうちは父がどこか遠い存在に思える。

 

でも、父が子を愛しているのは紛れもない事実。

 

私の父は、重松清さんの書く父に非常に似ています。

幼いころはとっつきにくくて、苦手でしたが、歳を取れば取るほど、父への感謝の気持ちが湧いてきます。

 

それは「なにかしてくれた」からではなく、「模範であってくれた」からです。

 

社会人として、一人の大人の男性として、世間に対し、人に対し、どう振る舞うか?

 

父がそれを私に教えてくれたことはありませんが、父を見ていれば「あぁこうすればいいのか」とすぐに分かります。

 

 

話がそれましたが、健一にとっても、義父はまさにそのような存在に思えました。

 

先に健一が義父の言葉に軌道修正したと書きましたが、それは義父の言葉に「重み」があったからです。

 

経験に基いていない、説教などただやかましいだけの見栄っ張りに過ぎません。

 

健一が「重み」を感じたのは義父が誠実に実直に亡くなった娘の朋子さんに愛情を注いで来た、という「父」としての経験則があったからでしょう。

 

 

「いつまでも尊敬される父でいられるように頑張ります」

いつぞやの父の日に送った、メールの返信です。

 

息子が見ている。だから手は抜けない。

 

私の父も健一の義父も本物のプライドの持ち主だと思います。

 

結婚のけの字のもない、私が「父」になる見込みは今のところ、全くありませんが、2人のプライドに少しでも近づけるよう、意識して日々を過ごしたいものです。